事業承継の対策

  • ホーム
  • 事業継承の対策
  • 自社株、事業用不動産の対策>
  • 後継者対策
  • 自社株、事業用不動産の対策
  • 相続対策

2.自社株、事業用不動産の対策

自社株の対策

事業承継において、自社株の対策はとても重要です。
自社株=経営権ですから、後継者に自社株を集中して、しっかりと経営権を確保しておかなければなりません。

自社株対策の前提として自社株の評価を行う必要があります。

1.遺言

遺言は主に2種類
自筆証書遺言
公正証書遺言

「遺言」は、自分の大切な財産を最も有効かつ有意義に活用してもらうために行う意思表示です。自社株を後継者に相続させる旨の遺言を作成し、経営者の死亡時に自社株が後継者に渡せるよう準備をしておきます。

但し遺留分(※)に配慮する必要があります。

遺言には、主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類あり、それぞれにメリット・デメリットがありますが、確実に目的を果たすため自社株対策においては、無効になるおそれの少ない「公正証書遺言」を活用されることをお薦めします。

【遺留分とは】

民法で定められている残された家族への最低限の財産保証のこと。遺留分が認められている相続人は、配偶者、子供、父母(祖父母)。

2.生前贈与

「贈与」は、与える人ともらう人双方の了解があって有効になります。自社株対策において、生前贈与は自社株を後継者に集中する有効な手段の一つですが、特別受益(※)に該当しますので遺言と同様に遺留分による制約を受けます。

【特別受益とは】

相続の時に、一部の相続人が亡くなった人から生前に受けていた特別な財産のこと。遺産分割の際にはこれを相続財産に合算し、トータルで相続分を計算する。

生前贈与には二種類あります

暦年贈与
相続時精算課税制度
毎年少しずつ贈与するかまとめて贈与するかどちらかの選択
  • ①暦年贈与
    • 1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の合計額を基に贈与税額を計算する
    • 贈与金額-110万円(基礎控除)=課税価格
  • ②相続時精算課税制度
    • 2500万円まで非課税(非課税分を超える部分については一律20%の課税)
    • 要件:60歳以上の両親・祖父母から20歳以上の子・孫へ
    • 贈与者(与えた人)の相続時(死亡時)に贈与価格を持ち戻して相続財産に加算。(持ち戻す価格は贈与時の価格で固定)

3.金庫株

「金庫株」とは、企業が自社の株式を買い取って保有する自社株式のことを言います。株券を手元の金庫にしまっておくところから「金庫株」と呼ばれています。2001年10月1日に金庫株が解禁となり、これにより企業は目的を問わずに自社株を取得・保有できることになりました。

自社株集中のための金庫株の買取り

分散した自社株を会社が買い取ることにより、経営者の支配権を高める。

うるさい株主から自社株を買い取ることにより、後継者の経営がやりやすくなる但し、株主が拒否した場合は買い取れない

対抗策として「売渡請求」(※)を定款に盛り込む

【売渡請求とは】

相続や合併等により株式を取得した者に対し、会社がその株式の売渡を請求すること。定款変更には株主総会の特別決議が必要。

金庫株の買取り要件
  • 剰余金分配可能額(※)がないと買い取れない。
  • 買い取る為の現金が必要。
  • 株主総会にて出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要。
【剰余金分配可能額とは】

剰余金の配当、自己株式取得等による純資産の社外流出の限度額規制のこと。
貸借対照表(B/S)の純資産の部において純資産額の合計のうち資本金、資本準備金、利益準備金等株主への分配に用いられない額を控除した上で計算される。

4.種類株式

「種類株式」とは、剰余金の配当や議決権等の内容について、普通株式とは異なる定めをした株式のことで、いくつか種類はありますが、その中でも特に「議決権制限株式」、「拒否権付株式」(黄金株)等は、会社支配権の確保や自社株の集中あるいは分散防止に活用できます。
種類株式の発行には株主総会の特別決議が必要です。

議決権制限株式

株主総会の議決権において、他の株式とは異なる定めをした株式で、議決権の無い完全無議決権株式や、一部の決定事項のみの議決権を有する株式等がある。

社長(父)は普通株式は後継者に 社長(父)は新たに無議決権株式を発行→無議決権株式は非後継者に
普通株式:後継者へ 新たに無議決権株式を発行:非後継者へ

これで後継者の会社支配権が確保できる

株主総会で決議された事項について、拒否権を与えられた特別な株式のこと。原則として1株だけ発行される。

拒否権付株式以外の株式を後継者に贈与・譲渡する
社長(父)拒否権付株式を1株発行し所有する→経営に睨みを効かせる→後継者
  • 拒否権付株式(黄金株)を1株発行して社長自身が保有。
  • その他の株式は後継者に譲渡・贈与する。

拒否権付株式を保有して経営に睨みを利かせる

事業用不動産の対策

事業承継においては、事業用不動産の対策も考えておかなければなりません。以下によくあるトラブルの事例とその解決策の一例を挙げます。

社長個人の土地を会社が賃借している。 社長(底地を会社に貸している)→会社(社長個人の土地)

社長が死亡したら→会社に貸している社長個人の土地は相続財産として分割・納税の対象になる

問題点
  • ①分けられない(共有するのは問題の先送りでしかない)
  • ②後継者が相続する場合、自社株と合わせて相続財産が大きくなり、他の相続人の遺留分を侵害してしまう恐れがある
解決策
会社が事業用不動産(社長個人の土地)を相続した人から買い取る

そのために!
会社が相続人から土地を買い取る為の資金を準備する必要がある

準備の方法として 会社が契約者となる生命保険を利用する 契約者:会社 被保険者:社長 受取人:会計 社長死亡時に会社が受け取る生命保険金で相続人から事業用不動産を買い取る
ページの上部へ